超カンタンな方法でこんなに頭が良くなる!
唯脳論
養老 孟司

定価: ¥ 924
販売価格: ¥ 924
人気ランキング: 2838位
おすすめ度:

発売日: 1998-10
発売元: 筑摩書房
発送可能時期: 通常2~3日以内に発送
解剖学者と脳科学者は違います解剖学者による脳哲学だと割り切ってしまえば読めますが、
脳の科学的な解明を期待してはいけません。
解剖学者と脳科学者は全く違います。
解剖学者は脳の構造を扱いますが、脳の機能は扱いません。
脳科学の視点からすれば、結構おかしな事を言っています。
一級の研究者が難しいことを易しく語った良書養老孟氏は解剖学者で脳の研究では第一人者である。普通、このような専門の研究者が一般向けに脳の詳細な本を書くことはあまりないことであるので、ここに書かれたことは確実に読者にとって新鮮で驚きに満ちている。また、単に事実を並べただけではなく、一般読者に分かりやすいような論理展開を工夫してくれており、しかも、面白く読めるような配慮を感じ、実にありがたい本である。随所に、学会の一般見解ではないが、養老氏の個人的考えもみられるが、これも独断ではなく、卓越した研究者である養老氏が考えつくした上でのことであったり、同一の見解を持つ研究者がいて、それなりの論理性や証拠を示せるものに限っており、客観性は崩していないと思う。
ただ、それでも、やはり養老氏は忙しくて執筆に十分な時間がないのか、いくつかの部分はどう読んでも明確に理解できなかったり、細かい部分に関しては医学的にではなく、数学的に矛盾していたり、明らかにおかしな説明もあるが、そういった部分は飛ばして読むしかない。しかし、そんな部分があっても、全体としてはあまり問題はないと思う。
誰もが興味深いと思えることに「意識はどこから生まれるのか?脳の中に心があるのか?」という問題があると思う。そして、これは人類最大の難題と思われ勝ちであるに関わらず、養老氏は割にあっけなく明解に語ってしまう。世界的物理学者のロジャー・ペンローズが難しい量子論や計算機科学をはじめあらゆる知識を導引してなおかつこの問題を不明確に語った本もあるが、それとはえらい違いである(しかも結論は反対だ)。
価値ある知識を比較的楽に理解させてくれる上に、一般的な固定観念をかなり(しかも心地よく)打ち破ってくれるあたり、やはり養老氏の頭の良さは大したものと思う。
先ずは、「生気論」と「機械論」論争を! 著者の言う通り、確かに近代文明は脳の活動の所産であると言える。近代合理主義は、「脳」によって認識でき、説明可能なものだけを対象としてきた。デカルト哲学はその端緒であるが、ニーチェの言う運命愛(ツァウストラはかく語りき)と併せて読むのも面白いかと思う。その意味で、「身体知」まで踏み込んだ所は面白い。道元禅の「心身一如」や論理学者ゲーデルの思想も紹介されている。
ただ、人間の本質である「自(我)意識」を自慰的活動の所産としたり、「心」を「脳の機能」(31頁)と言うのは、強引過ぎるという感は否めない。何故なら、基本的に、人間という実体があって宇宙があるのではなく、宇宙という実体が先ずあって、それを「部分的」にしか認識できないちっぽけな人間が存在するのである。実際、考古学では、3大宗教発生以前のインドやエジプト等の古代文明で、宇宙の法則を現代以上に直感的に把握していた可能性が、今、明らかになりつつある。
中世の「生気論」「機械論」論争を念頭に置きながら読む上では面白い一冊かも知れない。